本当の仲間
昔の夢を見た。楽しかった頃の夢だ。あの頃に戻りたい。
戻れない。アイツらが壊したんだ。アイツらさえ…。あの組さえなければ…。
──愛華…
──笑ってくれねぇか?
──お前の笑顔見て…
振り続ける雨の中であの人は言った。…仲間の存在、あの頃から狂い始めたんだ。全てを壊したのはあの組だ…。
あたしが壊してやる…。あたしが…あたしが──…。
「…ん」
「あ、起きた?」
「…あぁ」
目を擦りながら起きる。
「ずいぶんと寝てたね。何か夢でも見てたの?」
「……あぁ」
「そっかぁ。…あ、これ」
沖矢はあたしにイチゴオレを渡す。それをあたしは手に受け取った。
「サンキュ…」
1つ欠伸をし、イチゴオレを飲む。甘い味が口の中に広がった。
「…」
「…」
沈黙が続く。別に気まずくなく…時間は過ぎる。
「クシュッ!」
沖矢が1つクシャミをする。
「寒いのか?中に入るか」
「別に大丈夫だよ。もう少しここにいよ?」
「駄目だ、中に入るぞ。あたしが寒いんだ」
「クスッ。ありがと…」
「礼を言われる筋合いが分からないな」
あたしはその場に立ち、沖矢を見下ろす。
「素直じゃないなぁ」
「悪かったな」
あたし達は校舎へと歩き出した。