本当の仲間

校舎内は人で賑わっていて温もりがあった。今は2年の教室前を通っている。沖矢は身長が高く、目印にはなるが前から来る人を避けなければならない為、少し遅れかちだ。
ドンッっと誰かとぶつかる。沖矢が見失う為、そのまま行こうと思ったんだが
「おい待てや!」
喧嘩をふっかけられたようだ。
「…何?」
面倒臭そうに振り返る。そこには3人の身体のでかい男が3人いる。
「…!テメェらァ」
「なんだてめー。俺達の事知ってんのかァ?」
「その腕の刺青見れば分かるっての…。黒伏組さんよぉ…。」
「へぇ…、よく知ってるじゃねぇか」
黒伏組の特徴は左腕に黒の虎の刺青をしなければならない。
「その眼苛つくなァ…!?」
1人の男があたしにへと殴りかかって来る。その騒ぎであたしと黒伏組の周りは少し円を描くように開いている。みんなが成り行きを見るようだ。

「苛ツクのはてめぇらなんだよ!」
お前らのせいだ。お前らのせいなんだ。

「おい…。何やってる」
「く、組長!」
「なんでここに…!?」
「何やってんだ、てめーら」
黒伏組の組長が来たらしい。
「……組長だァ?」
「なんだてめー」
組長と思われる奴はあたしにへと正面を向く。

「…春風一族、次期総長の春風愛華」
「春風一族…。そんな組もあったなぁ…。懐かしいな、確かあれは2年前の話だな…」
「へぇ…てめぇがやったのか」
「確か…城ヶ崎──…」
その瞬間あたしは殴った、こいつを。

「組長…!」
「大丈夫ですか!?」
「てめぇ…何してんだ!」
「ククッ…、面白ェじゃねぇか…。お前、あいつの知り合いかァ。」
組長は立ち上がり、あたしを見る。あたしも組長を見る。
「愛華…だったよな?覚えておく。俺は黒伏組、組長の露木 悠」
そう言って、あいつは言った。
「…覚えとくよ」
あたしはボソッと呟く。



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