本当の仲間
「ねぇ愛華ちゃんはバスケ出来る?」
「まぁ…出来る」
「愛華ちゃん、スポーツ出来そうだもんね」
「…伊藤は器用そうだな。家庭科とか得意そうだ」
「うん、家庭科とかお料理は大好きだよ」

体育館に着くと、1年A、B、C組それぞれ並ぶらしい。
そして原田先生が予め決めておいたチームに分かれた。

「お、愛華!」
「あ…」
あの朔斗とか言う奴だ。あたしは基本苗字で呼ぶんだが、生憎朔斗の苗字は知らない。
「あ、俺の事は普通に朔斗でいいぜ!」
「…分かった」

「おーい!チームごとに並べー!」
原田の一声により、チームごとに並び始める。

「ちょっと、春風!」
突然名前を呼ばれ、振り返ると朔斗とは違った童顔…というより女顔の男がいた。
名前は確か…、南雲 薫。同じクラスだ。
「…何?」
「一緒のチームなんだけど」
無愛想な奴と同じチームとは今日は運が悪いらしい。
「着いて来て」

今覚えば、本当にここの体育館は広い。
1チーム5人のチームが15チーム、計75人。
コートは7個あり、2回に1回はプレイ出来る。
この学校は金持ちらしい。


──沖矢 総司side

驚いた。転校生はあの子だったんだ。
朔斗に誘われた時、行けばよかったな。今更後悔。
あの子は今コートに出ている。朔斗と対戦らしい。その中には雪乃ちゃんもいる。

ゲームが始める。ボールを取ったのは南雲だ。そして南雲は1人で朔斗チームのゴール下まで行き、点数を入れた。
バスケは1人でプレイするんじゃないんだけどね。
もう1回点を入れようとする南雲に対して、塞いだのが朔斗。
その時ボールが滑り、朔斗陣地に転がる。しかも端だからもうすぐで出る。
そのボールを拾ったのがあの子だった。
出かけるボールを流れるように取った。

…ちょっと待って。あの子は確かDFの筈。なんでこんな前に出てきてるのか。
否、どうしてこんなに早くここにいるのか。
南雲チームのゴール下と朔斗チームのゴール下ではかなりの距離がある。

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