Drei Drachen



その時は頑張ろうと思ったけれど、いざ本物の不良を見たらやっぱり怖くなって。


学園の向かいの公園のベンチに座って足をブラブラさせながら、彼らが入学式の行われる体育館へ向かうのを眺める、という行動に至ったわけ。


今からこんなんじゃ、この学校でやっていくのは無理だよな。


「はぁ……」


溜め息をついた時、スカートのポケットから例の女性アーティストの曲が流れてきた。


かけてきた人間は大体検討がつく。


私はケータイを取り出し、電話に出た。


「もしもし」


「あ、美龍。お前なんでまだ体育館来てないんだよ。大分前に家出たってメールしたよな?」


ほら、やっぱり。


電話を掛けてきたのは、案の定來礼だった。



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