Drei Drachen



「なら、俺の学校来るか?」


來礼がとんでもないことを言い出した。


すごくありがたい提案だけど、來礼の学校って県外なんだよね。


私、引っ越しとか面倒だし、手続きとかよく分からないんだけど。


「大丈夫、引っ越しのことなら俺に任せろって」


私のそんな心境を察したのか、彼がそう言う。


それならいいかな。


中卒じゃ就職も難しいし、高校浪人はしたくないし。


「……じゃあ、行く」


「分かった。引っ越しの日付とか決まったら、また連絡する。荷造りとかしとけよ?」


「うん」


私は返事をすると、電話を切った。





その時は高校に行ける嬉しさで一杯だった。


だって、來礼の学校があんなところだなんて思ってもみなかったから……。



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