嘘婚―ウソコン―
頭の中がハテナマークでいっぱいになっている千広に、
「8月の下旬あたりに、俺のデザイン事務所がオープンするんだ。

1人か2人、スタッフを募集しようかと考えてたところだったんだ」

陽平が説明をした。

「仕事は…まあ、電話の受け取りとかデザインの確認とか掃除とかだけどね。

もし、ヒロがその仕事に興味があるって言うならばやってみればいい。

就活の時期になった時、正社員として俺が雇ってやるから。

いい給料を出すぜ」

ニッと、陽平が白い歯を見せて笑った。

「――いいんですか?」

千広は聞き返した。
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