嘘婚―ウソコン―
ハハッと笑っている陽平に、千広は気づかれないように息を吐いた。

確かに、2人そろって酔っ払っていたら意味がない。

誰か介抱する人がいなければシャレにならないだろう。

陽平もまともだったんだと、千広は心の中で呟いた。

その間にも、ユメは手なれたように水割りを作って行った。

長く働いていると、水割りを1杯作ることくらい簡単なのだろう。

千広はそんなことを思った。

「お待たせしました」

ボーイがウーロン茶を運んできた。

同時に、水割りも完成した。

タイミングがよ過ぎだ。

「じゃ」

陽平がユメの手から水割りのグラスを受け取ったので、千広もウーロン茶を手に持った。
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