嘘婚―ウソコン―
「乾杯」

カチンと、陽平のグラスと千広のグラスが重なった。

(…えっ?)

千広は目を丸くした。

何で乾杯なんかしたのだろう?

陽平が水割りを飲んだ。

あまりにもいい飲みっぷりだ。

千広も慌ててウーロン茶を口にした。

こう言う状況は初めてで、なれてないのは仕方がない。

千広はそう言い聞かせた。

「久しぶり、陽平」

ハスキーボイスと共に、千広の隣に誰かが座った。

金髪がよく似合う美女だった。

「こっちこそ、久しぶりだな。

ハート」

陽平が彼女の姿を見つけると声をかけた。
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