嘘婚―ウソコン―
落とすくらいだったら持っている意味なんてないんじゃないだろうか。

それか、携帯電話に鎖をつけた方がいいんじゃないだろうか。

呆れた千広がそう思った瞬間、頭の中に画像が浮かんだ。

それは、陽平の携帯電話の待ち受け画像の女性だった。

あの人は、一体誰だろうか?

ボタンに指を添えて、画像を見ようかと思った…けど、やめた。

自分が気にする必要なんてないから。

そのうえ…見てはダメだと、思ったから。

千広はさっきまで陽平が作業していたところに携帯電話を置いた。


お昼時だから、マックも混んでいるのだろうか。

「もう1時だって…」

携帯電話で時間の確認をすると、1時間が経っていた。

お腹が空き過ぎて、もう作業どころではない。

空腹を紛らわせるように、千広はその場で横になった。
< 149 / 333 >

この作品をシェア

pagetop