嘘婚―ウソコン―
「チーズバーガーのセットね」

「…ありがとうございます」

千広は陽平の手から紙袋を受け取った。

陽平も自分の分の紙袋をとると、食事を始めた。

千広も腹の虫を泣き止ませるため、食事に集中することにした。

食事をしながら、陽平は周りを見回した。

朝から千広と一緒に作業をしていたせいか、仕事場がだいぶ埋まってきた。

もう一息だなと、陽平は思った。

ふと視線を向けると、携帯電話があることに気づいた。

白のスライド式の携帯電話は、間違いなく自分の携帯電話だった。

(何だ、こんなところにあったのか)

と言うよりも、こんなところに落ちていたと言うのが正しい。

陽平は携帯電話を動かすと、着信履歴を見た。
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