嘘婚―ウソコン―
削除を終えると、画像が映った。

優しく微笑みかけるその彼女に、陽平はイラついていた心が洗われるような気がした。

彼女は、一生忘れられない。

いや、忘れることができない存在だ。

彼女は儚くて、いつも寂しそうにしていた。

――退屈ですか?

陽平は、そんな彼女の雰囲気が好きだった。

自分と似ているような気がしたからだ。

だから、彼女と一緒に時間を過ごしたいと思った。

彼女と一緒に、退屈な毎日を変えたいと思った。

けど、それはかなわなかった。

陽平は携帯電話をズボンのポケットに入れた。
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