嘘婚―ウソコン―
「退屈ですか?」

そう声をかけた陽平に、美樹は驚いたように顔をあげた。

顔をあげたが、答えなかった。

やっぱり、自分と気があう。

彼女の印象に、陽平はますます確信を抱いた。

つまらない日常を送っていた自分の前に現れた彼女は、美樹だった。

陽平は自分が美樹に恋をしたことに気づいた。

同時に、思った。

彼女と一緒に、つまらない日常を変えたい。

陽平は思った。

1人よりも、2人がいい。

2人なら、何でもできるような気がした。

 * * *
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