嘘婚―ウソコン―
後ろを向けば、いろいろな色のリキュールがあった。

(…確か、右から順に置かれているのがアルコールの入ってるヤツだったな)

そんなことを思いながら、千広はカラフルなリキュールを眺めていた。


車の中は、静かなうえに冷房が効いていた。

世間は“節電”と騒いでいる。

妹が通っている大学も一部のエレベーターが節電のために止めているのだそうだ。

心の中でぼやきながら、陽平は窓の外に視線を向けた。

太陽が西の空に沈みかけていた。

まだ5時過ぎたとは言えど、日がある。

「もうすぐで到着するぞ」

ぼんやりと外を見ていた陽平に父親が声をかけた。

「はいはい」

外に視線を向けたまま、陽平は流すように答えた。
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