嘘婚―ウソコン―
その光景に虚しさを感じて、陽平は自分の部屋へ戻った。

「――クソッ…!」

ドアを閉めると、陽平は地面に座り込んだ。

膝を抱えて、そこに顔を埋める。

先に美樹と出会ったのは、自分だった。

彼女と一緒に人生を歩みたいと思っていた。

だけど、彼女は後から出会った男と一緒になった。

彼と一緒に、自分の前から去って行った。

「何で俺じゃねーんだよ…!」

彼女に何かしたと言うのだろうか。

彼女を怒らせるようなことをしたのだろうか。

彼女の神経を逆なでするようなことをしただろうか。

彼女――美樹は…後から出会った男と結ばれ、一緒に自分の前から去って行った。
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