嘘婚―ウソコン―
その光景に陽平は本当に呆れたと言うように息を吐くと、千広に視線を向けた。

――意味がわかっただろ？

そうやって目で問いかけた陽平に、千広はわかったと言うように首を縦に振った。

自分のことを頭が悪いと言う風に言っていた陽平だが、実は意外にも頭がいいんじゃないかと千広は思った。

計算高いとか、策略家と言った方が正解のような気もするが。

そう思った千広に、
「でも…あたし、陽平さんのことを愛してました」

麻里子が陽平に声をかけた。

「お前が愛してたのは俺じゃなくて、金の方だったんだろ？」

彼女に視線を向けることなく、陽平が言い返した。

「そんな、違います…」

首を横に振って震える麻里子に対し、
「よく言うよな」

陽平はバカにするように笑った。
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