嘘婚―ウソコン―

*Separete Ways

「お疲れ様でーす」

店を出ると、千広は歩道橋へ向かった。

期待はしていない。

けど、用事もないのに足が走る。

「よっ」

そこに陽平は、待っていた。

「どうしたんですか?」

歩み寄った千広に、陽平は封筒を差し出した。

「離婚届。

約束通り、名前書いた」

淡々と言い、封筒を突き出す。

「あの…」

「今日は満月だろ?

次の満月まで考えるって言って約束してただろ?」
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