嘘婚―ウソコン―
自分の気持ちは、自分が1番わかっていた。

わかっていたから、気づかないフリをしていた。

陽平が好き。

今声にして、言葉に出したら、なおさら自分の気持ちを思い知らされた。

千広の突然の告白に、陽平は目を伏せた。

沈黙。

けどその沈黙はすぐに、
「ハハッ…」

陽平によって、破られた。

狂ったように、陽平がいきなり笑い出したのだ。

一体、どうしたんだろう?

何がおかしくて、笑っているのだろう?

千広は訳がわからない。

「…………はーあ」

思いきり笑った後、陽平はおおげさに息を吐いた。
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