嘘婚―ウソコン―
それだけ言うと、千広はミックスピザに手を伸ばした。

「俺だって財閥の御曹司だ。

世間の経済事情はそれなりに気になる」

そう言い返した陽平だが、やはり想像ができなかった。

気になるとは言っているけど、全くピンとこない。

無理して想像しても仕方がないので、
「そう言えば…」

千広は話題を変えることにした。

「周さんって、いつも『Cinderella』に通っているんですか?」

その話題に、
「ヒロがその質問をするって言うことは、俺が毎日キャバクラに通っているように見えるってこと?」

陽平が言った。

千広は驚いたようにピクリと眉を動かした後、
「少なくともあたしの中では、男の人は毎日キャバクラに通っているって言うイメージがあります」

チューハイを飲んだ。

そう言った千広に、
「ハハッ、ヒロはおもしろい。

飽きないよ」

陽平は笑いながらチューハイを1口飲んだ。
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