嘘婚―ウソコン―
彼の言うことは…自分はバカにされているのか、それとも褒められているのか。

陽平はわからない。

当の陽平は飲んでいたチューハイをテーブルに置いた。

なくなったのか、スーパーの袋から新しい缶チューハイを出した。

プシュッ

プルタブを開ける音が静かな部屋に大きく響いた。

陽平はそれに口をつけずに、テーブルに置いた。

「毎日『Cinderella』に通うほど、俺は稼いでいないよ。

デザイナーつっても、まだまだ卵だ。

頑張っても半人前だ」

陽平は笑った。

意外だと、千広は思った。

財閥の御曹司だから、てっきり毎日通って遊んでいるんだと思っていた。

「自分のお金で『Cinderella』に通っているんですか?」

意外過ぎて、千広は聞いた。
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