嘘婚―ウソコン―
陽平の仕事の関係者か誰かだろう。

それとも、陽平がこの前言っていた“小田切紅花”と言う人物か。

どちらにしろ、自分には関係ないことだけど。

そう思って千広が声をかけようと口を開いた時だった。

「どこに確証があってそんなこと言ってる訳?」

陽平の呆れた声が飛んできた。

えっ?

確証?

千広は訳がわからなかった。

「確証って…何を根拠にそんなこと言ってるの!?」

ヒステリックなソプラノの声に、千広は思わず1歩後ろへ下がった。

相手の女性は怒っている。

と言うよりも、陽平が怒らせたのか…?

千広は近くにあった電信柱を見つけると、そこに隠れた。

様子をうかがう。
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