嘘婚―ウソコン―
陽平は床のうえに置いていたコーラに手を伸ばすと、ストローですすった。

「水っぽいな」

一言呟くように言ってクスッと笑った後、また床のうえに置いた。

「たぶん俺…あの時、モミを抱いたんだと思う」

「――えっ?」

陽平の衝撃的な一言に、千広はやっと声を出して、返事ができた。

「…どうして、そう思うんですか?」

「いや、記憶はないんだ。

ただ、その日も酒の飲み過ぎてで死にかけていたと言うのは覚えている」

千広の質問に陽平は答えた。

「じゃあ…どうして、そんな確証が…」

言いかけた千広をさえぎるように、
「目が覚めたら、ホテルのベッドのうえで、お互い裸だったんだ」

陽平が言った。

「……は、はあっ?」

何だ、そのドラマかケータイ小説みたいな展開は。

千広は次の言葉が出てこなかった。
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