嘘婚―ウソコン―
結婚を要求している。

千広は“嫌な”予感を肌で感じた。

唇を開き、
「――まさかとは思いますけど…またあたしに妻を…」

恐る恐る話をした千広に、
「その話をするためにヒロに話した訳じゃない」

陽平がさえぎるように返した。

「そもそも離婚したばかりだ。

女性は離婚したら半年間は結婚できない、法律だろ?

子供の話を考えると、確かそうだったと思う。

どちらが父親かわからないのを防ぐためだって言う理由で」

「え、ええ…」

千広はうなずいて返事することしかできなかった。

陽平は自分のことを頭が悪いと言っていた。

なのに…どうしてそんなにも法律に詳しいのだろう?

法律を話に持ち出す辺り、陽平は実は頭がいいんじゃないかと千広は思ってしまう。
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