嘘婚―ウソコン―
「えーっと…」

確認作業をしていたら、ある書類で手が止まった。

それは、婚姻届だった。

園子は自分の目を疑った。

「いやいや…まさか、ね?」

1回強く目を閉じて、パチパチとまばたきをした。

深呼吸をして、婚姻届の確認をする。

今度は、妻の名前の欄の方に注目をする。

もう1度妻の名前の欄を見た園子は、
「――何じゃこれ…」

そう呟かずにいられなかった。


1限目の中国語の授業を終えると、千広は2限目の授業の教室に向かった。

「次は、教育制度論だったな」

手帳で時間割の確認をすると、その教室へと足を向かわせた。

ドアを開けると、
「お、1番だ」

まだ誰もきていないことに、千広は嬉しくなった。

今日は中国語の授業が早く終わっただけと言うこともあるのだが。

千広は机にカバンを置くと、携帯電話を取り出した。

電話の着信が1件だけあった。

大前からの着信だろうか?
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