嘘婚―ウソコン―
亀山はカチンときたと言うように寺脇を見ると、
「それは俺が才能がないとでもいいたい訳か?」
と、言った。

「いや、そんなこと言ってないじゃん」

にらみつける亀山に寺脇は右手を左右に振る。

「じゃあ、何だよ。

どう言う意味なんだよ」

亀山は寺脇をにらみつける目を強くする。

「あ…いや…」

寺脇は困ったと言うように目を伏せた。

逃げるように目を伏せた寺脇に、
「あーあ、小田切と寝ればデザイナーの仕事でももらえんのかなー」
と、亀山は呆れたように言った。

(えっ…?)

亀山の口から言った言葉に、千広は耳を疑った。

小田切と寝るって…つまり、俗に言う“枕営業”と言うヤツなのだろうか?
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