嘘婚―ウソコン―
千広は閉じていた目を開けた。

「――んんーっ…」

体操も兼ねて、千広は上半身を天井に向かって伸ばした。

躰を伸ばした後で、すでに充電を終えていた携帯電話に手を伸ばすと、時間の確認をした。

画面は16時を表示していた。

千広は携帯電話を閉じると、出かける準備を始めた。

着ていたTシャツを脱ぎ捨てると、タンスから新しいTシャツを取り出した。

ハンドタオルを水で濡らすと、電子レンジで1分と加熱した。

その間にカチューシャで前髪をあげると、脂でテカテカしている顔を洗った。

洗顔を終えてタオルで水滴をぬぐうと、電子レンジを開けた。

簡単おしぼりが完成していた。
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