嘘婚―ウソコン―
銀座の一角に構える高級クラブ『Cinderella』に、陽平は何日かぶりにそこを訪ねた。

「お久しぶりね、陽平」

手際よく水割りを作り、陽平に差し出したのは『Cinderella』のナンバーワンキャバ嬢・ハートである。

サイドに流した金髪の長い髪に、躰のラインを強調するドレスが特徴的だ。

ドレスのスリットから覗く美しい脚は、男なら誰もがしゃぶりつきたいと思うだろう。

「ん」

陽平は水割りを受け取ると、1口だけ飲んだ。

「結女は?」

「ああ、ユメちゃんならお休み。

昨日はきたんだけど、残念だったわね」

グロスをあふれるくらいに塗った唇を動かしながら、ハートが笑うように言った。
< 41 / 333 >

この作品をシェア

pagetop