嘘婚―ウソコン―
「よいしょ」

カウンターの前にある椅子に、園子は腰を下ろした。

「とりあえず、生1つ」

人差し指を見せると、園子は注文をした。

「…おっさんですか」

そんな彼女に、千広は苦笑いを浮かべた。

「だって言ってみたかったんだもん、このセリフ」

「言ってみたかったって、生1つが?

色気ないね~」

千広は園子の前に氷の入ったグラスを差し出した。

「ちょっと、これ」

文句を言おうとした園子に、
「グレープフルーツジュースですけど、何か?

って言うか、あなたは未成年でしょ。

誕生日は11月でしょ」

千広は返事をした。

「…バレたか」

パチンと、園子は自分の額をたたいた。
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