嘘婚―ウソコン―
それから仕方ないなと言う表情を園子は浮かべた。

グレープフルーツジュースを口につける。

「って言うか、未成年にお酒を出して怒られるのはあたしだから」

千広は呆れたように息を吐いた。

「まあ、美味しいから許すけど」

園子はニッと笑うと、カウンターのうえうにグラスを置いた。

「それで、どうしたの?

わざわざ店にくるなんて」

そう聞いた千広に、
「…それがいきなり電話切った人の態度なの?」

園子がクルクルと回った。

いや、回っているのは椅子の方だった。
< 84 / 333 >

この作品をシェア

pagetop