嘘婚―ウソコン―
瞳だけは驚くほどキレイだった。

ギャップが激しいのもいいところだ。

そう思っていたら、
「小指同士で繋がってるなんて、絶対ウソだと思わない?」

陽平の吐息が唇に触れた。

それがキスしているみたいで、ドキドキする。

心臓がうるさい。

目の前にいる陽平に、聞こえているのではないだろうか?

そんな不安が千広を襲った。

「赤い糸は離れないように、首に繋がってる。

お互いがどこかへ行かないように。

お互いがどこかへ離れないように。

こうして繋がってる」

しゃべるたびに触れる吐息が、心臓の音を加速させる。

陽平の整った顔に、めまいすら感じた。

陽平の唇が耳の方に行く。

「首輪みたいにね」

「――ッ!?」

耳元でささやかれた低い声に、千広は思わず目を閉じた。
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