FeeLiNg.





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ピンポーン


拓人が来たことを知らせる
チャイムが鳴った。


玄関の扉を開くと、目の前に
拓人が立っていた。

いつものにこにこ笑顔で、
でも、どこかつかめない雰囲気で。


「さっきぶり。」


「…今日はどこ行くの?」


「どこがいい?」



なんだ、決めてないのか。
ただ、星を見たかっただけなのね。
現実から目をそらせる綺麗なひと時。
私を唯一許してくれる時間。


「いつものとこがいい。」

「…だと思った。
ジュースと、まりの好きなチョコ。
買っといた。」

ふわりと笑って、私の手を握り
スタスタと進んでいく。






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