FeeLiNg.
あゆみの強い瞳に何も言えなかった。
「…そうだね。」
私たちが行くところには、
拓人が待ってる。
そこで、あゆみと拓人を
2人きりにするの。
きっと、あゆみにとってすごく幸せなことだと思った。
その場所が、展望台だった。
お墓の前で、あゆみは立ち止まった。
「私、死んだらここにくるのかな。」
「…あゆみ?」
びっくりした。
急にリアルなことを言うから。
その言葉は深く、胸に突き刺さった。
「いいから、行こう?」
私は、あゆみの背中を押した。
あゆみは、小さな階段を登り始めた。
それに続いて、私も登り始めた。
足がどんどん重くなっていく。
この先に拓人がいて、
あゆみを待ってる。
そして、2人は―…
涙が出そうになった。
自分で決めたことなのに。
時計を見ると、11時を少し過ぎていた。
拓人とは11時に約束してた。
もう、私はいいの。
あゆみと拓人は、両想いなの。
私の恋はもういいの。
これで終わり。
「…っあ…っ」