FeeLiNg.






「よぉ拓人ー。」

聞き覚えのある声が
拓人に近づいた。



「んだよまっつん、煙草くせーよ。」

拓人がにこっと笑顔を見せたのは
まっつんこと松岡先生だった。


「うっせ。だれ待ってんの?」

先生が聞いた。

「…教えねーよ。」

拓人が冗談みたいに言った。

でもわかってる。
拓人が手をポッケに入れるのは
無理してる時。



無理して笑ってる時だ。



「…まり待ってんだろ?」


先生が言った。


なにいってんのあいつ!
やめてよ…っ。


私は騒がしい胸をギュッと抑えた。


「…は?なんでまりが…」

「答えろよ。」

拓人の言葉を遮るように
先生は言った。


拓人はフっと笑った。











「…そうだよ。」









ドクン……ッ



涙がボロボロ溢れ出した。




ごめんね拓人…っ


ごめんね…っ



「………ーっ。」






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