林檎とモノクロ
雪が溶けて
桜が散る頃
2人は式を挙げた。
小さかったが、とても華やかな結婚式場。
慶太は白いタキシード
林檎は、純白のドレスを身にまとって、
幸せそうに笑う。
三回目に見た彼女の涙は、世界で一番綺麗な涙だった。
こんなところで式を挙げたい
ふと亮太は思った。
ポケットの中には
ずっと渡せなかった、香水
『apple a sigh』
「林檎の吐息」
呟いて、プッシュする
甘酸っぱいにおいがした。
林檎の吐息は
青い空へと消えた
【完】