初めて天使を見た瞬間

3限は学活。

教科書を配って、名前を書く。


「はい。全部配ったので、名前書いてください」

ペン、ペン・・・。
あれ、無いな。
・・・そう言えばペンなんて買った事ねぇし!

しょうがないから、前のヤツに借りようと思った。
でも皆静かにやっているので、ちょっと話しかけられない。

「あ、あの・・・」

隣から小さい声が聞こえる。

「良かったら・・・私の使ってください」

「え・・・でも、天・・・っ木野は?」

「もう一本ありますから」

天使はニコッと笑って俺にペンを出す。

女子から借りるなんて、少し恥ずかしかったけど
これをキッカケに天使と話せるようになりたいって気持ちが勝つ。

「じゃぁ、ありがと」

言い終わる前に顏をそむける。
そっけない態度をとったのに、天使は優しく微笑んでいる。
まるで、俺がなにを考えているのかわかっているかのように。



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