不器用な恋模様
その時
「東條君」
そう言って後ろから
裾を掴まれた。
振り向くと、
2つくくりをした女が照れた顔で立っていた。
「……なに?」
「話があるんだけど、いい……かな?」
話なら
ココで言えば良いじゃん。
そうは思ったけど
何となく話の内容が分かって
俺は溜め息をついた。
「わかった」
そう答えるだけで
女はパッと明るくなった。
「栞、遅くなるから先帰れ」
そう言い残して
女についていった。
栞が切なそうな顔で
見ていたことなんて知らずに。