不器用な恋模様
「顔も雰囲気も……声も………全てが、あの頃と重なって」
「うん」
「言うことすら、翔と同じなんだもん」
ねぇ、ヒカリ?
君の瞳に移るのは誰?
オレは声に出してしまいそうな想いを抑えて拳に力を入れた。
「いつだって思い出すのは――――」
そこからオレは聞きたくなくて資料室から離れた。
走って走って走って……
どこまでも走って
息が出来なくなるくらい走って
頭で考えたくなくて。
オレは無我夢中で走った。
あれ以上は聞かなくてもわかる。
君は、
オレなんて見てなかったんだ。