不器用な恋模様
――――♪
「暁助が好きなの」
「ありがと。でも、ごめんね」
女の子の告白を軽く断って
暁助は、かけがえのない人が待つ教室へ向かった。
教室に着くと、彼女は頬を膨らませて暁助を睨む。
「ごめんな、紗雪」
「暁助のバカ」
紗雪はプイッと違う方向を向いた。
「なぁー紗雪」
「……」
暁助がいくら名前を呼んでも
紗雪は振り向きもしない。
だんだん悲しくなり、
暁助はムリヤリ紗雪を抱き締めた。
その行動に
真っ赤な顔で抵抗する紗雪。
「…やだっ」
「あのさ、紗雪?
妬いてくれるのは嬉しいけど無視されると俺…拗ねる」
口を尖らせて暁助が言うと
紗雪は耳まで赤くして
「や、妬いてない!!」
と、言い張る。
そんな紗雪の表情にも惹かれる暁助。
「そんなに顔赤いのに?」
「…暁助だって照れ屋のくせに」
「なっ…///」
俺が不覚にも赤くなった顔を
隠すと可笑しそうに紗雪は笑った。
それを見て、暁助は
瞬時に紗雪の唇を奪う。
「きょ、暁助ッ」
「それ以上、言ってみ?
もっかい口塞ぐよ」
そう言って勝ち誇ったように笑えば紗雪は何も言えない。
「暁助…」
「ん?」
「……すき」
「紗雪?
また塞がれたいんだろ」
おわり