不器用な恋模様
そう言って、俺の手を包み込むように握る栞。
「これ、どうしたの?」
「なんでもない」
不安そうに聞いてくる栞を
また素っ気ない返事で返した。
「何でもなくないよ!」
「…うるさい!」
あまりにも栞が
しつこいから俺は手を振り払った。
その行動に栞は
すごく傷ついた顔をした。
「心配しすぎだから」
「心配だよ。
だって………幼なじみだもん」
今にも泣きそうな声で
訴える栞。
「幼なじみは、そこまで心配しねーだろ?…ほっとけよ」