不器用な恋模様
「……」
氷屶の言葉に俺は驚いて
固まった。
なんか、氷屶……鋭くね?
そうなんだよ。
俺は名字なんて堅苦しい呼び方、女の子にしないんだ。
だって、
下の名前の方が覚えやすいし。
でも……、高嶋は違う。
なんてゆーか
下の名前で呼んじゃいけない気がする……。
抵抗があるんだ。
でも……そんな事は氷屶に言えない。
「下の名前、覚えてねーの。
高嶋が苦手だから」
「……ふぅーん」
氷屶は追求せずに、俺から目を逸らすと鞄から教科書を取り出した。