不器用な恋模様




そんな時だった。



「ひ、氷屶くん」


ちょっと遠慮しがちな声が
暁助の声より耳に届いた。


それは
とても聞き覚えのある声。


「……栞」


俺はポツリと呟いた。



帆波 栞(シオリ)。
おとなしめで気遣いが上手い、
俺の幼なじみ。



すると栞が後ろで組んでいた手を前に出した。
その手には弁当箱…。



その弁当箱は
明らかに男物で、俺はピンときた。



すると栞が
俺に近づいてくる。


そして優しく微笑んだ。






< 5 / 160 >

この作品をシェア

pagetop