想うだけならいいですか?
深まるのは

冬へと加速していく秋と

卒業するまで

隠していこうと

決めたこの思い―――――


「文化祭だねー!」


「いっぱいお店でてるね!」


「琥春ー

 先に体育館にいこ!

 黒崎たちのライブもうすぐだよ」


「うん、わかった!」


体育館に入ると

舞台の上で演奏してる生徒と

玖條先生・・・


『演奏は二年二組の黒崎奏獅と

 橘瑠実と上条雪でした

 ―――――――っと

 次のプログラムまで時間がありますので

 どなたか飛び入りいかがですか?』


ちゃんと笑わなくちゃ・・・

ただの生徒でいるって決めたんだ

―――――いつか

先生が見てくれる日まで・・・


『どなたかやりませんかー?

 演奏でも歌でもなんでもいいですよー』


――――え?


『玖條先生!?

 よろしいんですか!?』


「そのピアノ使ってもいいかな」


客席にどよめきが走る

ひやかす声

応援する声

それでも

先生が弾き出すと

静まり返った


*
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