君、解明。
「私、握手とかって苦手なの。」

『ワシが男だからダメなんか?』


しゅんっとした顔をしている。まるで、雨に濡れた捨て犬のようだ。


「そういうわけじゃないよ。」

別に男とか女とか関係ない。ただ、私にとって握手は嫌な思い出にすぎないからしたくないだけ。


『ほぅかの?…んー、あいが嫌と言うならば握手は先延ばしにしちょっちゃるねぃ。』


にんまりと笑って差し出した手を引っ込めた。

…悪い人ではないのかもしれない。


「一生ないかもね。」


『んなっ!?それは嫌じゃっ。せめて卒業前にはしたいっちょよぅ。』


「んー…出来たらね。」


『ほんとかねぃっ。約束じゃでっ?』


すごく嬉しそうに笑いながら私にまた手を差し出してきた。


「……だから、握手は…」

私が言おうとすると、差し出してきた手は私とは違う方にいき、横にあったカーテンを掴んだ。


『これならいいんちょな?』

カーテンに手だけを隠し、あえて直接触れないようにカーテンが被っているトコから小指らしき指の型がでてきた。


「え…?」


『はやくっ。はやくっ。』

指切りをしろと言うのか、私が指をだすのを待っているようだ。


まぁ、直じゃないし大丈夫だよね。
私は仁王の小指に自分の小指を絡めた。


『指切りげーんまーん嘘ついたーら針千本飲ーますっ指切ったっ!』


言い終わると同時に仁王と私の指は離れた。


『これで嘘はつけんぢょ?』

はははっと笑いながらドアの方に歩いていった。

約束……なんか、無理矢理させられた感でいっぱいなのは私だけなのだろうか?


君の口調end.
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