君、解明。
★眠れる王子★
ガラッ
『おっはよーッス。』
「!?」
教室のドアが勢いよく開き、私はビクッと肩をあげてしまった。
『あれー?豊河が一番乗りかぁ。今日、早いのなっ。』
「槙…斗くん…。」
ニカッと笑うこの爽やかな人物は、野球部所属の【森崎槙斗(モリサキマキト)】。
彼は野球部の人気者で、ついたあだ名は【眠れる王子】。
あと少しで負けちゃうって時に彼はいきなりでて、チームを敗北から勝利へと導きだす。
普段は、マイペースなうえに天然で練習の時はいつもミスを三回くらいはする。
そんな彼だからこそ
【眠れる王子】
に相応しいのかもしれない。
「うん。今日は日直だから早く着たの。」
『そっか。豊河、日直だったんだな。』
『まーきーときゅぅん。』
『うわっ。…あれ?啓太、お前いつからいたんだ?』
『んなっ!?最初からじゃ最初からっ!槙がくる前に俺ぁ、あいと話してたんちょっ。』
『あい?』
そりゃぁー、聞き返すよね。だって私、【あい】じゃなくて【まなは】ですから。
『こやつだっちょよ!』
私の横にピョンッと来て、右手で紹介するように手をピンッとさせてきた。
『"あい"って…。啓太、豊河は"あい"じゃなくて"まなは"だぞ?
確かに"あい"とも読めるけど、【あい】より【まなは】の方がしっくりくるだろ?』
槙斗くん、いい人っ。さすが【眠れる王子】!!!…関係ないケドさ。