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「確か、夕愛ちゃんだったような」

「そうですけど、何で名前…」

「入学式の時に渡されたクラス分けの名簿を見て、珍しいと思ったの。夕方の夕に愛で、読み方が『ゆめ』。書き方も読みも珍しいよ」


それはいろんな人に何回も言われたことがある。

中学校や高校では、初めて授業を持つ先生がいると毎年、絶対読めない、とも言われた。


「まぁ、僕の名前も珍しいんだけどね」


男の子は、ははっ、と軽く笑ってからその言葉に付け足した。




「瑠璃の璃に北斗の斗で、読み方は『りと』。よろしくね」




笑顔がまた印象的だった。

笑うと、その持ち合わせた可愛さが増すような。


差し出された手に、手を添えて握手して。

性格の明るさがまた、笑顔から滲み出す。