7 STARS
「お金がないなんて嘘吐いて、部屋に転がり込んだのは…現実逃避したかったからだよ。彼女に似た君に彼女を重ね、そうすればいつか、君が彼女だと思いこめるようになるんじゃないかってそんな淡い期待を抱いてた。
でも…そんなのは君にすごく失礼だ。」

「失礼?」

「君は唯一無二の存在で、誰とも重ならない。君は君でたった一人だ。」


『たった一人』
その言葉が突き刺さる。
自分が一人だってことは…言われなくても分かってる。


「それに君は彼女とは全然違ったからね。」

「え…?」

「君は全身で寂しいと叫んでた。寂しさが身体中から溢れてた。」


『寂しい』
そんな感情なんて知らないって思っていた。
でもそれは…


「寂しさを知らないって言ったのは、本当に知らないからじゃないよね?
知っててそれを見ないフリしてたから、違う?」


―――違うわけがない。
寂しかった。ずっと…ずっと。


「留守電、お父さんからの連絡待ってたんだよね?」


―――そう。来ないってことは知ってる。
でも、それでも…もう家族はお父さんしかいない。
だから諦めきれない。留守電なんて入らないのに、ボタンを押す指は止まらない。


「夢は人を愛したい。それに愛されたいと願ってる。」


涙腺の限界だった。

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