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涙で視界が滲む。
ショウの顔がよく見えない。


「ねぇ、夢。人は一人なのにどうして人を愛したいなんて願っちゃうんだろうね。
…なんで愛されたいって思うんだろうね。
愛なんて見えはしないし、捕まえたって思っても…すぐ消えてしまうものなのに。」


すぐ消えたというのは彼女のことを指しているのだろう。
でもそんなの、夢が一番知りたいことだった。
どうしてなんて訊かれたって困る。
夢にだって分からない。


「俺の仮説、聞いてくれる?」


夢はこくんと頷いた。
涙がぽろっと零れたため、慌ててぐいっと拭う。


「そんなに強く拭うと変に腫れるよ?」

「別にいいもんっ。」

「ほらほら、そんなこと言わないの。」


ショウが優しく夢の涙を指で拭う。
その繊細な指が涙をかすめ取る。


「少し落ち着くまで待つよ。」


ショウの手が夢の頭に乗っかった。
少しだけ重く感じるその負荷が、人がそばにいるということを夢により一層感じさせる。


今まで忘れていたような安心感が夢を包む。

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