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「指輪、海に溶かそうと思って。」

「え?」

「正式に言うと溶けるわけじゃないけど…。海には溶かすって表現が適切かなって。」

「…指輪、捨てちゃうの?」

「海にいればいつだって星が見えるだろ?
…彼女は星が好きだったから、いつでも星が見える場所にいてほしくて。」

「だったら海がいいかも。」

「手、握っててくれないかな?」

「え?」

「一人じゃなんだか決心鈍りそうで。
こんなに自分が根性無しだったとは思ってなかったくらいなんだ。」

「…これでいい?」


夢はそっと、ショウの右手を両手で握った。


「ありがとう。」


ショウは優しく微笑むと、指輪を握った左手を小さく振った。


ポチャンと静かな音が指輪の最期を物語る。


「一歩前進。」

「あたし…結構前進。」

「結構?どういうところが?」


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