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「昔から好きだよね、奏人は。」

「え?」

「星。気が付けばいっつも星見てた。
小学校の自然教室の時だってさ、私を引っ張って星見に行ったじゃん。
二人ではぐれてすっごい怒られたけど。」

「ったく菜々子は…どうでもいいことばっかり覚えてる…。」

「可愛い思い出じゃん?それに私はあの日の星空、ちゃんとまだ覚えてるよ。」


あの日の奏人の横顔に、私は多分恋をしたのだと思う。
暗い夜、星と月の光だけが確かな灯り。
そんな中、星の光に照らされた、キラキラした奏人の表情が今も目に焼き付いたままで離れない。


あの表情を、ああして手を引いてくれた奏人を、〝好き〟だと思った。
でもその気持ちを今まで一度だって表に出したことはないけれど。


「俺も覚えてるけど。」

「そうなの?」

「当たり前じゃん。菜々子との思い出は、いつでもちゃんと覚えてるよ。」

「…っ…。」


息が詰まりそう。
下手したら泣いてしまいそうだ。


奏人の言葉は、私にとっては破壊力抜群で、真正面から受け止めると勘違いしてしまいそうになるんだ。

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