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「二人ともすごく臆病だったんだなって。
でも臆病だったのが俺だけじゃなくて少し安心した。
…同じ気持ちだったことが、今、すごく嬉しい。」

「…奏人も苦しかった?」

「そりゃあもう。
だって帰ってくる度、菜々子がどんどん可愛くなってるし。」

「そんなこと…!」

「佐々木って奴、絶対菜々子のこと好きだから、用心するように。」

「佐々木さんは絶対違うって!」

「いーや、男の勘は絶対なんだからな。」

「意味分かんないっ!」


視線が絡み合う。
そして二人でぷっと吹き出した。


…ただ似た者同士だったんだ。
言うことで離れるかもしれない恐怖をずっと乗り越えられなくて。
でも言わずにいるこの苦しさに耐えきれなくなって。


そうして吐き出してみてやっと通じた。


二つの想いがずっと前から重なっていたことにようやく気付いた。


…やっと、辿り着けた。
想いの重なる場所に。


「ねぇ、菜々子。」

「なに?」

「手、繋ごうよ。」

「…いいよ。」


今まで重なることのなかった手が、距離をゼロにするためにようやく重なった。

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