7 STARS
「行こう、菜々子。」


差し出された手に一瞬躊躇う。
その躊躇いを見た奏人が少し強引に私の手を奪った。


「うわあ!」

「なに?」

「だっていきなりこんな掴まれたら…!」

「…可愛いね、菜々子。」

「そんなことストレートに言わないで!慣れてないんだから!」

「今まで言わなかった分、もう我慢しないようにしようと思って。」


そう言って笑う奏人が余裕そうで、ちょっと悔しい。


駅のホームには誰もいない。
チクタクと時を刻む音に、少しずつ高揚していた気持ちがしぼんでいく。


ベンチに腰掛け、時計の音に耳を澄ませる。


「何時発…?」

「9時42分…かな。」

「あと…1時間。」


田舎の電車の最終は早い。
だから嫌なんだ、最終電車は。


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